Introduction
彷徨う三つの魂が重なり合う時、愛が生まれる
日本を舞台に中国人男女が織り成す、美しくも儚い恋愛模様
異国の地・日本で巡り合う男ふたり、そこに現れる女ひとり-やるせない思いを抱えた三人は、やがて青春の痛みと向き合う。
穏やかで時にスリリングな日常を描いた、中国出身の新進監督・呉沁遥監督による初長編作品。リアルな空気感を生み出すため、メインキャストには演技経験の無いアマチュアの男女を起用。
季節をまたぎ、異国の地でそれぞれの孤独や葛藤を抱えながら過ごす青年たちの揺れ動く感情を切なく映し出した、新世代のラブストーリー。
Story
東京で中国人旅行者向けの民泊を営んでいる李風(朱賀)は、近所で個展を開いていた画家の王洋(王一博)と出会う。
個展の最終日、李風は王洋に対し民泊に絵を飾ることと仕事を手伝ってもらうことを提案し、二人の同居生活が始まる。
季節が過ぎたある日、王洋のかつての恋人であるジェニー(呉味子)が来日する。
さまざまな問題を抱えた彼女の出現によって、平穏だったはずの生活に変化が訪れる。
Director
監督 : 呉沁遥
1992年生まれ、中華人民共和国・四川省出身。
2015年に来日後、2017年立教大学大学院に入学。万田邦敏教授の元で映画演出を学び、修了作品として本作を製作する。現在は中国に帰国し、フリーランスにてCMなどの制作を行なっている。
Cast
李風 / 朱賀
1993年生まれ。中華人民共和国黒滝江省出身。
監督とは高校時代からの友人。現在はフリーランスとして活動。
王洋 / 王一博
1998年生まれ。東京で生まれ、大連と北京で育つ。
監督とは元々知り合いではなく、友人に「撮影があるから行ってみな!」と言われた先が本作のオーディションだった。現在は都内の大学に留学中。
ジェニー/呉味子
1994年生まれ。北京在住。
監督の大学時代の先輩で、10年来の仲。現在はweb関係の仕事に就いている。
Theater
劇場 | 公開日 |
---|---|
東京/ シアター・イメージフォーラム(渋谷) | 10月24日(土) 〜11月27日(金) |
大阪/ シネ・ヌーヴォ(九条) | 11月28日(土) 〜12月11日(金) |
京都/ 出町座(出町柳) | 12月11日(金)〜 |
愛知/刈谷日劇 | 12月4日(金) 〜12月17日(木) |
映画『旅愁』(英題:Travel Nostalgia)
監督・脚本・編集:呉沁遥
出演:朱賀 王一博 呉味子 ほか
エグゼクティブ・プロデューサー:呉永昭 プロデューサー:楊潔 撮影:呉楽 木易真人 王常錦 照明:薛小天 李子林 録音:織笠想真 整音・音楽:王耳徳 美術:闞楽 蔡翔 董青青 衣裳:董青青 協力:万田邦敏 竹内里紗 配給:イハフィルムズ 宣伝協力:髭野純 宣伝デザイン:あきやまなおこ
2019|カラー|16:9|90分 | 日本・中国
野本幸孝さん(編集者・映画ライター)による寄稿の文中において、以下の誤植がございましたのでお詫びの上、訂正させていただきます。
第3段落2行目「主人公・季風を中心に展開していく物語と異邦人3人の佇まいには、」→ 「主人公・李風を中心に展開していく物語と異邦人3人の佇まいには、」
第4段落9行目「……かつて恋の面影を探し求める悲痛な映画へと変貌を遂げる。」→ 「……かつての恋の面影を探し求める悲痛な映画へと変貌を遂げる。」
Comment
泣いた。自分でもずっと考えていた “他者を好きになれる人” と “他者を好きになれない人” の埋まらない溝について。その描写があまりにも素晴らしかった。久々に3人の話を自分も描きたくなった。
― 今泉力哉(映画監督)
みんなそれぞれ独りきりだけど、孤独なままで肩を寄せ合うことはできる。そんな風にしかいられない愛おしい人たちの姿が、ずっと心に残っています。幸せになることが最終目標じゃなくてもいい、一瞬のきらめきにちゃんと人生が息づいているんだ、ということに気づかされる映画でした。
― 清原惟(映画監督)
この作品で描かれるのは「恋愛」でも「友情」でもない。「名前のない関係」を軽やかに肯定する、諸行無常な人生という旅のロードムービーだ。
― 佐々木ののか(文筆家)
李風が王洋にかける「君の絵で俺の民泊を飾ってくれよな」という言葉。
なんて美しい愛の告白なのだろう。
異国の街で何者にもなれず、孤独を受け入れ暮らしてきた李風の、精一杯の熱情の迸り。
その感情の行く末に、しみじみと涙させさられた。
― 長谷川敏行(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 プログラミング・ディレクター)
男女三人の愛を巡る旅路が、儚いけどとても心地良くて、こんなにもラストシーンを迎えてほしくないと願った映画は初めてです。三人の嘘が全くない等身大の演技が紡ぐ奇跡的なシーンの連続は、どうやって撮ったのかこっそり教えてほしいです。
― 藤元明緒(映画監督)
三人で旅に出ない方が良いと言われた事がある。
もめるから。
三人で恋をしない方が良いと言われた事はない。が、もめるだろう。
旅も恋も目的より衝動が最優先だ。でも衝動は時に残酷だ。
小さなテントの中で三人の残酷な恋が放つ光は、あまりにも美しかった。
― まつむらしんご(映画監督)
ああ、哀しいなあ。切ないなあ。異邦人って、こんなに多感なんだね。いや、彼らを見つめ、彼らの物語を紡ぎ出した監督と、彼らを演じたキャストたちの感受性が見事で、題材との1回限りの化学反応が起きたんだね。だから、見終わった後はこの上なくやるせないけど、とても幸せです。
― 万田邦敏(映画監督)
迷いながら、揺れ動きながら、異国の地で、三人の若者の人生が重なり合ってしまう。危なっかしくて、切ない、もう2度と訪れない瞬間を覗き見た。
― 山田由梨(劇作家・演出家・俳優)
※五十音順/敬称略